ひだまり通信

エイシンホケン事務所のブログ

現在、日本には団塊の世代と呼ばれる75歳以上が約800万人いるとされています。2025年にはその全員が後期高齢者になり、まさに日本は超高齢社会に突入すると言えます。

また、高齢者が増加する一方で、少子化は止まらず、今後働く世代が増える見込みがないのが現状です。こうした背景から、現在の日本は2025年問題に直面していて、早急な対策が必要な時期がきています。

2025年問題とはなにか、企業や私たちの生活にどのような影響があるのか、どのような対策があるのか、ご紹介します。

 

◆2025年問題とは

 

2025年になると、1947~1949年の第1次ベビーブームに生まれた団塊の世代が全員75歳以上となります。人口の5人に1人が後期高齢者という超高齢社会を迎えるのです。これにより、社会保障に関する負担増や、人材不足といったさまざまな課題が生じるとされており、それらを総称して2025年問題と呼んでいます。

 

2025年問題について、具体的にどのような影響があるのかを見ていきましょう。

 

◆2025年問題が引き起こす影響

 

1.人材不足

2025年になると、3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上になると言われています。反面、子どもの数は42年連続で減少しており、2023年4月1日の時点で、15歳未満の子どもの数は1435万人となっており、前年比で300万人も少ない数字となっています。

このように、高齢化が進むのと同時に少子化も進んでいることから、働く現役世代の人口がどんどん減少し、人材不足が進行しています。

特に、懸念されているのが、医療や介護の現場での、医師や看護師、介護士などの人手不足です。ほかにも物流においてはトラック運転手、IT業界においてはITの知識を持つ技術者、とさまざまな分野での人材不足が深刻になってきています。

こうした人材不足は、経済成長率の鈍化を引き起こす可能性も十分あります。

 

2.後継者不足

特に中小企業や小規模事業者の後継者不足は深刻です。現在、70歳以上の経営者が約245万人いる中で、約半分の127万人は後継者が決まっていないと言われています。もしこのまま後継者が見つからなければ、会社は廃業に追い込まれてしまうのです。企業の倒産数の増加は、雇用やGDP(国内生産量)の減少を引き起こすこととなります。

 

3.社会保障費の増加

2025年問題の中でも、人々の生活に直結するのが、社会保障費の負担増です。後期高齢者が増えれば増えるほど、医療費や介護費といった社会保障費が増加し、その負担が現役世代の肩にのしかかってきます。また、費用負担だけでなく、例えば介護現場の人材不足で病院や施設での介護が難しくなると、自宅介護が避けられなくなるかもしれません。つまり、現役世代は、金銭面だけでなく、労力面での負担増も懸念されます。

 

◆企業ができる対策

 

企業として、特に大きな問題である人材確保について、どのような対策があるのかを見てみましょう。

 

・幅広い雇用の促進

企業が多くの人材を確保するためには、雇用の幅を広げる必要があります。例えば、定年を迎えた高齢者や出産や子育てのために離職した女性の再雇用、障害者雇用、海外からの労働者の雇用などが考えられます。

 

・働く環境の整備

幅広い雇用によりさまざまな状況の人が働くことになれば、どんな状況の人にとっても働きやすい環境づくりが大事です。例えば、時短勤務やフレックスタイムの導入、テレワークの推進など、柔軟な働き方ができる体制が必要になるでしょう。

 

・離職者を減らす

採用者を増やすことだけでなく、離職する人を減らすことも、人材不足解消の大事な役割です。そのためには、ライフワークバランスを考えた働き方の提案、教育プログラムなどスキル向上の機会を設ける、報酬の見直し、福利厚生の見直しなどが考えられます。また、育児休暇や介護休暇など必要な休暇がとりやすいことも、離職を減らす要因となるでしょう。

 

 

いかがでしたか?これ以外にも、さまざまな影響が考えられ、企業にとって2025年問題は他人ごとではありません。今後より高齢化が進むことで、2030年問題、2040年問題と、問題はより深刻化していくことでしょう。まずは2025年問題をどう乗り切ればよいのか、できることから対策をとってみてはいかがでしょうか。